レース・サーキット走行専用保険 インタビュー(筑波サーキット レース)
こんにちは。レース・サーキット保険は「ほけんの王様」 編集部の阿部です。
先日、あるサーキットで車両同士の接触事故がありました。
弊社の保険に加入されていた車両は、レーシングチームが所有する、レース専用車両の「VITA」でした。
ドライバーさん、レーシングチーム、保険の損害調査を行うアジャスターさんにご協力いただき、インタビューさせていただきました。
皆さん顔出しはNGということなので、顔をかくした写真を掲載しています。
ドライバーさんへのインタビュー
--どのような事故でしたか?
カテゴリーの違う車両との混走レース中に起きた事故だったんですが、後続車が上級のカテゴリーの車両で、速度差がかなりあり、インコーナーに進入時の距離感を見誤ってしまい、相手の車両とクラッシュしてしまいました。
後で聞いた話では外装は勿論、足回り、フレーム、ミッションケース、エンジンマウントまで破損しており、走れる状況ではなくクレーンで運ばれたらしいです。
--おケガはなかったんですか?
クラッシュ時の衝撃は大きく、接触する瞬間までは覚えていますが、クラッシュ直後からの記憶がなく、気が付いたときにはメディカルに搬送されていました。
脳震とうを起こして、気を失っていたそうです。
--大事に至らなくて良かったです。保険に加入していて安心できましたか?
修理代はかなり高額になると聞きました。
保険に加入していなければ当分の間、レース活動ができなくなっていたと思います。
今までも、その覚悟でレース活動をしていましたが、保険加入を勧めてくれたチームの方や、保険の対応していただいた方々に本当に感謝しております。
--ありがとうございました。お大事にしてください。
チームへのインタビュー
--車両を所有しているチームとしての心情はどのようなものでしたか?
事故の直後は、メディカルに運ばれたので、車両のことよりも当然ドライバーの体を心配しました。
大きなケガはないことが分かりホッとしました。
ホッとした直後、修理費はどうなるんだろうと考えていました。
--車両の損害状況はいかがでしたか?
事故車両が手元に帰ってきた瞬間、被害が大きいことがすぐに分かりました。
保険が適用できるかどうか、すごく気になりました。
--今後どのような対応を心がけたいでしょうか?
レース車両を貸し出す業務を営んでいるので、レース車両が壊れてしまうと売上が減少してしまいます。
借主(ドライバー)の方が多額の修理代をすぐに支払ってくれれば問題はないのですが、チームで修理費用を一旦建て替えなければいけなかったり、場合によっては支払ってもらえない方もいるので、チームにとってもドライバーにとっても保険をかけることを強く推奨したいと思いました。
--このような保険を勧めたいと思いますか?
もちろん、勧めたいです!
事故の写真を見れば、必要だと感じるでしょ!
保険に加入していれば、クラッシュなどで生じる経済的なダメージが少なくなるので、レースを辞める人が減ると思います。
また保険があることで、特に初めてサーキットを走行する方などは、レース参戦に対するハードルが下がると思います。
レース人口が増えることにつながると理想的ですよね。
--ありがとうございました。弊社もモータースポーツ発展のために頑張ります!
アジャスターへのインタビュー
--一般の市販車と比べて損害鑑定は大変なんですか?
部品名が分かりにくいので、実物と部品名を教えてもらいながら、損害を確認していく必要があります。
--レースカー(フォーミュラカー等)は専任のアジャスターがいるんですか?
サーキットが管轄エリア内にあるので、1人専任のアジャスターがいます。
普段は、市販車の自動車事故を担当していますが、レース関係の場合は、専任アジャスターが対応することになります。
--専任の方だと安心ですよね。今回のようなVITAの鑑定をしたことはありますか?
3台鑑定したことがあります。
--さすがです!どのようなことを主にチェックしているんですか?
損害の箇所、車台番号、エンジン番号、ミッション番号などを中心に確認していきます。基本的に修理可能なものは、交換ではなく修理でお願いしています。
レギュレーションの関係で、安易に修理できない部分もあるので、ヒアリングや、調査が必要となります。
--修理費用の内払いは可能なんですか?
内払いは出来ず、一括払いのみとなります。
理想的には、修理をしながら見積りを修正しつつ、都度鑑定していく流れとなります。
事前に協定する場合は、追加修理は認めらません。
--損害鑑定のお忙しい中、ありがとうございました!
まとめ
「レースの事故は自己責任」「恨みっこなし」
今も昔も、レース・サーキット走行では、誰しもが暗黙のうちに理解しています。
今回、ドライバー、チーム、アジャスターのそれぞれにインタビューをさせていただき、事故の状況を目の当たりにしました。
そこで一番感じたことは「保険のできることは想像以上に大きい」ということです。
ドライバーさんにとっては、保険で対応ができなければ、車両修理の資金調達に苦しむことになり、最悪の場合、レース活動からの引退を検討せざるを得ない状況になっていたかも知れません。
車両を貸し出していた、レーシングチームにとっても、修理代を回収できない場合、車両修理が滞り、予定していたイベントや仕事ができなくなってしまう恐れもあります。
また、初めてサーキットを走行をしようとチームイベントを楽しみにしていた方は、そのサーキット走行をする機会を失ない、結果、モータースポーツの参加人口を減らしてしまうことに繋がるかも知れません。
事故の当事者だけではなく、モータースポーツ全体にとって、保険は必要だと改めて感じました。